横浜華僑通訊 2016年8月号より抜粋

目次:


中華文化大楽園」  横浜で初開催

広州市僑聯代表団来浜

日本福建経済文化促進会 創立5周年を祝う

山下町町内会館竣工、披露

黄河女声合唱団  ホームコンサート開催

中華街に「子ども食堂」

華文教育の「新たな100年」を目指して

中国語なう

新・ハローワークの窓から





「中華文化大楽園」  横浜で初開催


 「中華文化大楽園」は、中国国務院僑務弁公室が「中国尋根之旅」に続き、海外の僑裔青少年が中国文化に理解を深めるべく推進している活動で、中国国内の優秀な教師を海外に派遣し、サマースクール形式で青少年が楽しく学びながら中国文化への理解と親しみを深めることを目的にしている。11年にスタートし、すでに20か国で約1万名が参加し、多くの僑裔青少年に歓迎され、開催地の関係者の支持と協力を得て、今や中国と他国との文化交流・友好促進の活動となっている。
 16年7月にすでに開催されたマレーシアのサバ州で500余名、韓国ソウル市で200余名、米国ワシントン市で100余名が参加した。
 このほど横浜で、横浜山手中華学校を会場に7月22日(金)~31日(日)に「中華文化大楽園 日本横浜夏令営」が開催され、山手中華学校生徒150名と、週末学校の同源中文学校(楊林理事長)・睦新中文学校(候艶妹校長)の生徒70名など、計約220名が参加した。
 22日に山手中華学校体育館で開催された開営式では、中華人民共和国駐日本国大使館の郭燕公使が来賓を代表してあいさつし、主催者を代表して北京市人民政府僑務弁公室政策法規処李光耀処長(上写真)と横浜山手中華学校張岩松校長がともに、優秀な教師の指導の下で中国文化に触れる得難い機会を有意義に活用し、楽しい10日間を過ごそうとあいさつした。
 今回来日した北京少年宮(中国伝統文化・文芸を伝授する課外活動校)などに所属する11名の教師は皆若く非常に熱心で、空港から横浜に向かう車中では「ホテルで休息するより先に教えの場を視察したい。」と希望した。
 生徒は学年別に、小1・小2・小3が各2クラス、小4、小5、小6および中学生合同クラスがそれぞれ1クラスの計9クラスに分かれて授業を受ける。開営式当日は午後から45分授業を2コマ。翌日から午前3コマ、食事、掃除、休憩をはさみ午後2コマ。漢語・武術・音楽・舞踏・書道・国画・串珠工作・中国結・詩吟・京劇・合唱・胡弓などの指導を受け、最終日の閉営式で参加生徒はその成果を披露する予定。
 李処長は、これまでの各国での経験で、漢語が話せない生徒でも支障なく学べ、最終日には友との別れを惜しむ光景も見受けられると話した。
 活動の詳細は次号『9月号』に掲載予定。    (7月25日記)


広州市僑聯代表団来浜

 一般社団法人廣東同郷会(陸煥鑫会長)の招きで日本を訪れていた中国広東省の広州市僑聯訪日代表団が7月1日(金)、横浜を訪れた。
 広州市僑聯の陸桃香巡視員率いる一行5名は、正午に中華街聘珍樓に到着し、廣東同郷会役員と、本会の朱銘江・王忠福両副会長、曽德深顧問(山手中華学園理事長)、張岩松理事(山手中華学校校長)の出迎えを受け、歓迎昼食会に臨んだ。
 冒頭、廣東同郷会陸会長が歓迎の言葉を述べ、訪日団の陸桃香団長はあいさつで広州市僑聯と日本僑界の交流拡大を望んだ。
 続いて曽德深顧問が乾杯の音頭を取り、一行の来浜を歓迎するとともに、日本滞在が実り多いものとなるよう祈念した。懇親をとおして代表団員はそれぞれ、横浜華僑の状況に理解を深めた。
 午後2時半過ぎ、一行は張校長の案内で横浜山手中華学校を参観した。一行は僑胞団結のシンボルでもある「百年僑校」の輝かしい歴史に感銘し、目を潤ませる場面も見られた。
 一行は東京へ戻り、翌日夕刻、広州への帰路についた。


日本福建経済文化促進会 創立5周年を祝う

 日本福建経済文化促進会(陳秀姐会長)と同横浜分会(陳宜華会長)が主催する「榕情四海・茉莉伝香」と題する文芸晩会および創立5周年を祝う懇親大会が7月24日(日)、東京港区高輪のTKPガーデンシティ品川で盛大に開かれた。
 中国大使館の郭燕公使(左写真前右)はじめ、領事部陳三虎参事官・文化処陳諍参事官・商務処景春海参事官・領事部王樹凡1等書記官兼領事など駐日大使館代表者、また福建省僑務弁公室楊輝主任、福州市人民対外友好協会何静彦副会長、日中環境協会島村宜伸会長、(一社)廣東同郷会陸煥鑫会長・同朱銘江副会長、留日江蘇同郷会陳学全会長、留日福建同郷会陳隆進副会長、横浜福建同郷会楊睦秀会長、日本福建平潭同郷会翁秋光会長など内外の来賓と在日福建僑胞約700名が出席。本会を代表し余凱副会長が出席した。
 第1部「榕情四海・茉莉伝香」と題する文芸公演では、福州市演芸文化交流訪問団が福建省の伝統劇「閩劇」の歌舞音曲を披露した。
 第2部「5周年懇親会」では陳秀姐会長(上写真前左)、陳宜華横浜分会長(上写真後ろ)があいさつし、中国大使館郭燕公使が祝辞を述べた。
 懇親会は和やかで、抽選会も行われ、午後8時半に陳玳珩名誉会長が閉会の辞を述べ、お開きとなった。
 同会は創立以来、「在日福建同郷を団結し、祖国の建設に貢献し、日本社会へ恩返しをし、グローバルネットワークを構築すること」を旨とし、4月に熊本地震発生に際しては、メンバー有志が救援物資を積んだトラックで被災地に赴き、積極的な支援活動を展開し、中日友好の固い絆を深めた。


山下町町内会館竣工、披露

 建設工事が進められていた横浜市中区山下町135番地の山下町町内会館が竣工し、7月15日(金)正午、同会館2階のホールで披露式が行われた。
 披露式には横浜市中区三上章彦区長・加賀町警察署吉田忠之署長・中消防署林久人署長・横浜県税事務所三浦一郎所長・横浜中華街発展会協同組合鍾上智副理事長が出席したほか、本会の謝成發会長が来賓として招かれた。
 冒頭、山下町町内会栗田繁夫会長があいさつし、新会館建設を喜ぶとともに、現在、町内会館に隣接する山下町公園には、明治初期に「会芳楼」という劇場があり、居留地横浜の貴重な娯楽施設であったことや、清国領事館が所在していたことを紹介した。
 三上中区長などが祝辞を述べ、続いて参加者一同で祝杯を挙げ、町内会館の新築落成を祝った。
 新しい会館は3階建て。今後は町内会活動の拠点となる。


黄河女声合唱団  ホームコンサート開催

 7月7日(木)の七夕に、ホテルニューグランドでコンサートを催した。応援する約150名の友人や家族が集まり、楽しいひと時を過ごした。
 初めに合唱団の歌声、次に田中淳一先生のピアノソロ、続いてテノール歌手の田大成先生によるプロの歌声、最後に会場の皆さまとの「大海啊故郷」の大合唱で締めくくった。
 ニューグランドの洗練されたおもてなしに満足して、すてきな1日を過ごすことができ、何よりもお客様の喜ぶ顔が私たちへのごほうびとなった。謝謝大家。
  黄河女声合唱団代表 李銀意


中華街に「子ども食堂」

 親の都合などで1人で食事をする子どもが増えるなか、「家で1人で食べるより、栄養のバランスがとれた食事をみんなで食べよう」「放課後のだんらんの場を提供しよう」をコンセプトにした取り組み「子ども食堂」が、日本全国ですでに300か所以上で運営されている。
 横浜中華街で7月、「横浜中華街 笑福(しょうふく)~値段のないキッズレストラン」が始まった。毎月1回第4水曜日の17時~19時に、50食限定の特別食を提供(お米は鳥取県の木村式自然栽培米を使用)、50食なくなり次第閉店。会場は中華街太平道の「優味彩」(中区山下町128)。食事代はお客様(子ども及び付き添いの大人限定)が決めた金額(0円も含む)を募金箱へ、とのこと。
■笑福(担当:リンダ)  電話045(663)0079


華文教育の「新たな100年」を目指して 89

中華学校で授業参観、多数来校

 横浜山手中華学校では年に1度、授業を公開し、保護者や日ごろから山手中華学校が行う教育に関心を寄せる方に、授業参観をとおして理解と協力を得るべく活動している。
 6月16日(木)~18日の3日間に、今年は約600名の保護者と来賓が授業参観に来校した。中華学校は今後に生かすべく今回、参観者にアンケートをお願いした。
 教師と生徒は十分な準備を整え公開授業の日を迎えた。校内には日ごろの学習成果を展示するスペースが設けられ、生徒が描いた絵画や手工芸品、中国語の作文、日本の短歌などの作品が並べられた。参観者はその成果に丹念に目を通していた。
 それらの展示作品の中から自分の子どもの作品を見つけた保護者は、その出来映えに、わが子の成長を実感したことであろう。

校外活動に取り組む

 横浜山手中華学校では6月24日(金)、小学3年~中学3年の生徒が学年ごとに校外活動を行った。
 小学3年生は横浜市鶴見区にある森永製菓の工場見学に。生産ラインの見学前に映像案内により工場の概略を学び、係りの案内で製品の生産ラインを見学。見学後、菓子を試食しおみやげも渡された。
 小学4年生は同じく鶴見区にある横浜市資源循環局の鶴見工場と鶴見資源化センターを見学し、横浜市が取り組む環境保護に関する知識と「3R」の環境保全の理念を学んだ。また、現代的な手法によるゴミの分別と処理工程を見学した。
 小学5年生は羽田空港と日本航空の「SKY MUSEUM」を見学した。生徒は客室乗務員のユニフォームを試着したりして、大空への憧れをふくらませていた。
 小学6年生は横浜市都筑区にある横浜市歴史博物館と、隣接する大塚·歳勝土遺跡公園を見学した。博物館では太古の昔から現代に至るまでの人類の歴史を学んだ。博物館を出て竹林に挟まれた坂道を登ると太古の人びとの暮らしを垣間見ることのできる大塚·歳勝土遺跡が目の前に広がり、生徒は古代人の生活ぶりを疑似体験した。
 中学1年生は東京都墨田区の江戸東京博物館を訪れた。展示物を通して生徒は江戸時代の歴史と文化について学んだ。
 中学2年生は西金沢中学校生徒を山手中華学校に迎え、交流した。生徒はグループごとに分かれ、中国語・茶芸・中国結・獅子舞・絵画・中国将棋・武術・民族舞踊などを通じて交流を深めた。中華学校と西金沢中学校は定期的に相手方の学校を訪問し交流を続けている。
 中学3年生は、中日両国に対してより深い認識と理解を深めるために、東京都港区元麻布にある中国駐日大使館を訪ねた。大使館では郭燕公使・王軍参事官兼総領事・王樹凡1等書記官兼領事と、青年読書会メンバーの外交官が生徒を温かく迎えた。郭燕公使は生徒に対し、中日交流と友好のために尽くすよう励ました。これに対し張岩松校長は、長年にわたり大使館が学校へ寄せる温かい心遣いに対し心からの感謝の言葉を述べた。大使館での交流会を終えた後、生徒は国立劇場へ移動し、日本の伝統芸能である歌舞伎を鑑賞した。
 1日の校外学習を通じて、生徒はそれぞれが新たな発見をしたに違いない。

北方小生徒来校、交流
 横浜市立北方小学校の4年生161名が6月21日(火)、先生に引率されて山手中華学校を訪れ、水墨画を通じて交流した。この活動は山手中華学校の王節子先生の指導の下に行われ、王先生は前日に北方小学校を訪ね水墨画の基礎を伝授していた。 今年の干支が「申」であることから、当日の作品のテーマはサルで、子どもたちに人気の孫悟空が題材に選ばれた。両校の水墨画交流はすでに18年にわたり、本校が現校舎に移る前は北方小学校で交流が続いていたが、今では両校で交互に行われており、両国の文化交流に一役買っている。
       (山手中華学校)


☆熊猫幼稚園便り☆


スイカ割り
 熊猫幼稚園は7月2日(土)、年に1度の日本の暑気払い行事―スイカ割りをした。
 この行事は幼稚園の出欠状況記録にはかかわらないものの、ほとんどの園児が保護者に連れられて参加した。
◎峰岡幼稚園と七夕活動で交流
 毎年七夕のころに峰岡幼稚園と熊猫幼稚園は交互に訪問しあい交流をしているが、今年は7月5日(火)、峰岡幼稚園の園児85人が教諭に引率されて熊猫幼稚園に来園し、両園の園児はいっしょに七夕を過ごした。
水彩活動
 熊猫幼稚園は7月8日(金)、園庭で奇想天外な水彩活動を行った。
 園児は手・足・からだに思い思いに水彩絵の具を塗りたくり、その質感・色つや・混ざり具合を身をもって体験した。
 このような造形表現は、芸術教育の領域では欠かせない教育の一環とされている。
         (熊猫幼稚園)


中国語なう 50 (番外編)
 特朗普 Telangpu
 川普   Chuanpu
    意味:トランプ
      (米共和党大統領候補)
 カードゲームのトランプを、中国語「普通話」では「扑克puke」といいますが、これは「ポーカー」を音訳したもので、トランプのカードは「扑克牌pukepai」、トランプ遊びをすることを「打扑克da puke」といいます。
 さて、今回紹介する「トランプ」は、カードゲームではなくアメリカ大統領選挙共和党の候補者であるトランプ氏の中国語訳である「特朗普」です。
 突拍子もない発言で一時は泡沫候補と思われていたトランプ候補ですが、いよいよ共和党を代表して民主党のヒラリー・クリントン氏と文字通り雌雄を決するまでになりました。
 その結果は11月、米国民の判断によりますが、投開票が済むまで引き続き世界中の注目を集めるに違いありません。
 さて、トランプ候補のファーストネームはドナルドですので、中国語でのフルネームは「唐纳德Tangna-de・特朗普」となります。
 ただ、「トランプ」は「川普」と訳す場合もあります。これは主に台湾などで用いられますが、「トランプ」の「トラン」の部分を「川chuan」にしたものです。
 「トランプ」は英語で「Trump」ですが、日本語では「L」と「R」の区別がつきません。日本語的発音で「トランプ」と言ったら、米国人には多分「はい?」と言われてしまうことでしょう。
 中国語でも案外、「特朗普」でなく「川普」と言うほうが、ちゃんと聞きとってもらえるのかもしれませんね。


新・ハローワークの窓から 93
世界共通の言葉

 私が勤めるハローワークの外国人コーナーでは、月曜は英語、火曜は中国語、水曜はスペイン・ポルトガル語の通訳員が出勤している。なかでも英語の通訳員が出勤する月曜がいちばん立て込む。
 気になって、英語で生活する国や地域を調べてみた。まずイギリス・アメリカ・オーストラリア・カナダである。たいていが英語を母語とする人たち。
 母語というのは、人が成長過程で学び取りもっともうまく使用できる言語を指し、中国人であっても私の母語は日本語である。
 多民族国家では統一した言語が必要で、国語以外に、公式に使用を認める「公用語」を定めているところがある。
 たとえばシンガポールはマレー語を国語と定めるが、中国語・タミル語・英語を公用語として認めている。
 英語を公用語の一つにしている国は、かつて大英帝国の支配下にあった、またはアメリカの影響を多く受けた地域に多いようで、東南アジア、インド、アフリカ、オセアニアや中米諸国など、世界に約80か国あるという。
 さらに、国連や欧州連合(EU)など地球規模の組織でも、英語が公用語の一つであるし、多国籍グローバル企業では社内で公用語的に英語を使用するところも多いようだ。ハローワークの求人票でも、「本社とのやり取りのため英語での電話対応、読み書き必須」という文言が入ったものを見かける。
 世界中の人と理解しあうために共通の言語が必要と考えた人もいて、1887年に「どの国の民族感情にも偏らない言語」という理念で「エスペラント」という人工言語が考案された。ロッテルダムに本部を置く世界エスペラント協会が普及活動をし、世界116か国に会員を持つというが、私はまだそれを使用する人に出会ったことがない。世界をフィールドにしたいならやはり英語が手っ取り早い気がする。
 話は戻って、ハローワーク。雇用保険の手続きや就職希望の各国の英語話者たちが相談にやってくる。英語を話すといっても地域差は結構あり、よく聞き取れない英語を話す人もいる。また、その人の教育レベルやバックグラウンドの違いで理解度に相違がある。
 その上で、彼らが雇われたいと考える日本の一般企業では、英語で仕事の指示を出せる人が限られているのが現実。
 世界の国々との距離が縮まったいま、どのような言語を使用するのがよりよいのか、考えさせられる。
参考:『ブリタニカ国際大百科事典』
 ハローワーク横浜
    職業相談員 李 艶 薇