横浜華僑通訊 2008年6月号より


目次:

胡錦濤主席 「訪日暖春之旅」    横浜山手中華学校を訪問

四川省で大地震  横浜で救援義援金募金始まる

于淑媛参事官離任 許沢友参事官着任 横浜で歓送迎会開く

華厨会所、大会を開く

北京のあれこれ 朱銘江((社)廣東同郷会副会長)

羅 森 物語   第9回

横浜健康コラム 17 予防接種




胡錦濤主席 「訪日暖春之旅」
    横浜山手中華学校を訪問


 中華人民共和国胡錦濤国家主席は「訪日暖春之旅」のため5月6日(火)、劉永清夫人と随員を伴って羽田空港に降り立った。江沢民主席以来、中国国家元首の10年ぶりの訪日に、羽田空港には両国政府関係者のほか、日本華僑華人聯合総会曽徳深会長・日本新華僑華人会呉智深会長、横浜から横浜華僑総会任政光会長・横浜山手中華学校潘民生校長・横浜華僑婦女会劉燕雪会長など華僑華人団体の代表も出迎えた。
 胡主席は福田康夫首相と7日に会談し、中日間の「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、アジア太平洋地域と世界の平和に責任を負い、ともに貢献することをうたう《中日関于全面推進戦略互恵関係的聯合声明(戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明)》に調印した。日本政府は胡主席の訪日を重視、胡主席を歓迎した。胡主席は皇室や政府の歓迎行事をはじめ日本の各界人士、中日友好団体代表や華僑華人団体代表と会合をもち、また早稲田大学で講演、最終日は奈良の唐招提寺を訪れて古の中日交流に思いを馳せるなど、5日間の訪日中55の行事に出席、各地で歓迎を受けて中日関係に大きな足跡を残した。
 日本華僑華人聯合総会(曽徳深会長)・日本新華僑華人会(呉智深会長)・日本中華総商会(李堅会長)・在日中国企業協会(趙方林会長)は日中友好7団体―(社)日本中国友好協会(平山郁夫会長)・日本国際貿易促進協会(河野洋平会長)・日本中国文化交流協会(辻井喬会長)・日中友好議員連盟(高村正彦会長)・(財)日中経済協会(張富士夫会長)・(社)日中協会(野田毅会長)・(財)日中友好会館(林義郎会長)と5月8日(木)、グランドプリンスホテル赤坂で「胡錦濤国家主席歓迎レセプション」を開催、広範な中日友好人士1300人余が集い胡主席を歓迎した。
 同日夜、胡主席はホテルニューオータニに華僑華人・中資機構・留学生の代表などを招いて会見した。
 胡主席と一行は5月9日(金)午前、神奈川県に入り川崎市のJEEでリサイクル工場を見学、松沢成文知事・中田宏横浜市長と会談し昼食をともにした。中国側と神奈川県・横浜市の関係者のほか、横浜華僑総会任政光会長と横浜中華街発展会協同組合林兼正理事長・県日中友好協会久保孝雄会長・市日中友好協会新堀豊彦会長が出席した。松沢知事・中田市長はあいさつでともに、「居住する外国人は中国人が一番多い。横浜中華街や中華学校は県・市の経済や観光、国際化の上で大きく貢献している。」などと述べた。
 同日午後、胡錦濤主席と劉永清夫人は随員一行をともない横浜山手中華学校(潘民生校長)を訪問した。ダークスーツに青色のネクタイを締めた胡主席と鮮やかな青緑色のスーツの劉夫人が揃って車から校庭に降り立つと、生徒と教職員、また日本華僑華人聯合総会・日本新華僑華人会、横浜華僑総会・東京華僑総会をはじめとする華僑華人団体代表など5百 余名が「歓迎!」「歓迎!」の歓声と拍手で熱烈に出迎え、生徒がドラ・太鼓と6頭の獅子舞で歓迎した。
 当初、横浜中華街に来街する予定があったが諸事情により中止された。


歓迎、歓迎! 胡錦濤主席!
胡錦濤主席、中華学校を訪問

胡主席が講話す 国賓として日本を訪れた胡錦濤中国国家主席と劉永清夫人が5月9日午後、横浜山手中華学校を訪問した。随行したのは令計劃中国共産党中央書記処書記兼中央弁公庁主任・王滬寧中国共産党中央書記処書記兼中央政策研究室主任・戴秉国国務委員・楊潔篪外交部長・張平国家発展改革委員会主任・周生賢環境保護部長・陳徳銘商務部長・李海峰国務院僑務弁公室主任・崔天凱駐日大使・倪培君(崔大使夫人)・武大偉外交部副部長・陳世炬胡主席弁公室主任ほか訪日随行員と中国大使館関係者。
 校門に五星紅旗が翻り、「热烈欢迎胡锦涛主席莅临我校」」と書かれた赤地の横断幕が掛けられた山手中華学校の校庭で、中国・日本の小旗と花束を手にした生徒と、教職員、学園理事・評議員、家長会代表、また日本華僑華人聯合総会・日本新華僑華人会・横浜華僑総会・東京華僑総会などの華僑華人団体代表5百20名余が「歓迎歓迎!」「歓迎歓迎!」の歓声と拍手で一行を熱烈に出迎えた。胡主席夫妻が車から校庭に降り立ち随行員とともに並ぶと拍手は一層大きくなり、ドラと太鼓が鳴り響く中で小学部生徒が獅子舞を披露、学生代表が夫妻に花束を贈呈した。

中華学校に到着した胡夫妻に学生代表が花束を贈呈  潘民生校長が歓迎のあいさつ


 歓迎式は鄭紅教導部長の司会で進められ、潘民生校長が「国家主席がわが校を訪れるのは、110年にわたる学校の歴史の中で初めてのことで、祖国が海外の華僑学校を重視していることの表れで感謝している。」と歓迎の言葉を述べ、続いて胡主席があいさつに立った。
 胡主席は、世界各地の華僑華人が中国と居住国の友誼、および祖国の近代化に寄与したことを高く評価し、「山手中華学校は百年余りの歴史を有し、多くの傑出した人材を排出している。日本にいる60 万人以上の華僑華人は、苦労して事業を興し、故郷の建設を積極的に支援し、中日の交流と協力に積極的な貢献をしている。中国政府と人民は広汎な同胞が祖国の発展に尽くしたことに心から感謝する」と述べ、また、中国の改革開放の成果及び中日関係の未来について語り、「中日両国は一衣帯水の隣国であり、中日の戦略的互恵関係を発展させることは両国と両国人民の根本的な利益に合致する。両国の政府と人民の協同努力の下で中日関係はよりすばらしくなると確信する。」さらに、中華学校の創始者梁啓超先生の名言『少年が治まれば国家が治まる、少年が富めば国家が富む、少年が強くなれば国家が強くなる、少年が進歩すれば国家が進歩する。』を引用して、山手中華学校の学生が勉学に励み将来中日友好の促進に寄与するよう、励ました。
 続いて潘校長が横浜華僑総会任政光会長、日本華僑華人聯合総会陳焜旺名誉会長・曽徳深会長、横浜山手中華学園梁慶安理事長、横浜中華街発展会協同組合林兼正理事長、日本新華僑華人会呉智深会長、神戸中華同文学校林同福理事長、神戸中華同文学校金翼校長、横浜華僑婦女会劉燕雪会長、東華教育文化交流財団江洋龍理事長、日本中華総商会厳浩副会長、東京華僑総会林斯福副会長を胡主席に紹介した。

小学部3年(張延華老師・担任)のクラスで唐詩の授業を参観。「胡錦濤老師」が唐詩《静夜思》の作者やその思いについて気さくに生徒に質問。胡錦濤老師は生徒からの質問を受け、終始にこやかでていねいに接して生徒を励ました。

 その後、潘校長・鄭紅教導部長の案内で小学部の授業を参観。張延華老師の指導で唐詩を学ぶ3年生のクラスで、生徒が李白の《静夜思》を唱和すると、胡主席は、「念得好!」詩の書かれた時代や作者の思いを生徒に問い、親しく言葉を交わして激励した。
 生徒からは質問も。
「なぜ主席になったのですか?」
「主席になりたかったわけではありません。人民が私を選んだので主席になったのです。私は人民の期待に応えなければなりません。」
「私も国家主席になりたいけれど、どうしたらなれますか?」
「あなたが将来何になりたいかにかかわらず、まず一生懸命勉強しなさい。素質を磨き、身体を鍛えなさい。そうすれば将来どういうことをやっても成功するでしょう。」終始にこにこと、気さくにかつていねいに答えていた。
 期せずして《歌唱祖国》の歌声が起こり、胡主席も声を合わせる。左から胡主席、潘校長、曽会長、任会長、陳名誉会長。『中文導報』楊文凱氏撮影

 山手中華学校を離れる前、胡主席一行は生徒代表・学校関係者、僑団代表と記念写真に収まった。
  五星紅旗迎風飄揚
    …歌唱我們親愛的祖国…
 突然わき上がる《歌唱祖国》の歌声。胡主席も和して大合唱になった。その感動の中、一行は拍手に送られて次の訪問地大阪へ向かった。
 この胡主席の山手中華学校訪問は、中日両国政府・メディア・在日華僑華人など各方面から「驚嘆すべきこと」と評価され、また海外の華僑華人社会でも注目されている。
 この訪問は、さまざまな困難を克服して110年にわたり連綿と学校を運営して民族教育・華文教育を遂行し、今また新校舎建設事業に取り組む横浜の華僑華人に対する力強い支持の表明であるばかりでなく、全世界の華文教育事業の発展を促し、また華文教育に携わる人々への励ましとなる。

胡锦涛主席在横滨山手中华学校的讲话
2008年5月9日
潘民生校长、各位老师、各位同学:
很高兴能到横滨山手中华学校同老师和同学们见面。
山手中华学校具有百余年的历史,从这里走出了很多杰出人才,可谓桃李满天下。贵校以培养中日友好人才为己任,为传播中华文化,促进中日友好发挥了重要作用,我对贵校取得的成就表示衷心的祝贺。世界各地有几千万华侨华人,他们为增进中国人民同所在国人民的友谊、促进中国的现代化建设发挥了重要作用。日本有60多万华侨华人,大家在艰苦的创业的同时,积极支持家乡建设,为促进中日交流合作做出了积极贡献。中国政府和人民时刻挂念着海外广大侨胞,十分感谢广大侨胞为祖国发展做出的贡献。贵校很多师生生在日本,长在日本,但对祖国有着深厚的感情。
改革开放以来经过全国各族人民顽强奋斗,中国取得了举世瞩目的发展。中国正在现代化的道路上快速发展,中国的明天一定会更加美好!
中日两国是一衣带水的近邻,发展中日战略互惠关系符合两国和两国人民的根本利益,也是国际社会的共同愿望。经过双方的共同努力,当前中日关系改善和发展的势头不断增强。我这次应邀来日本进行国事访问,就是要同日方规划中日关系未来的发展,把中日战略互惠关系推进到更高阶段。我相信,在两国政府和人民的共同努力下,中日关系的明天也一定会更加美好。
同学们,贵校的创始人之一梁启超先生曾写下著名的《少年中国说》,提出“少年智则国智,少年富则国富,少年强则国强,少年进步则国进步。”激励少年励志图强,报效国家。希望大家珍惜青春,刻苦学习,将来为促进中日友好贡献力量。衷心祝愿横滨山手中华学校越办越好!
谢谢大家!



僑弁・李海峰主任 来浜

 訪日中の国務院僑務弁公室李海峰主任一行が5月9日(金)午前、横浜を訪れた。同行したのは国務院僑務弁公室の劉輝文化宣伝司司長・呉剛国外司処長と、駐日中国大使館の于淑媛参事官兼総領事・李輝一等書記官兼領事・劉敬師一等書記官兼領事。横浜の華僑を代表して日本華僑華人聯合総会曽徳深会長・陳焜旺名誉会長、横浜華僑総会余凱副会長、横浜山手中華学園梁慶安理事長、中華学校校友会王忠福会長、横浜華僑婦女会劉燕雪会長が迎え、横浜山手中華学校について懇談、一行を山手中華学校の新学校用地に案内した。
 一行は午後、横浜山手中華学校で、胡錦濤主席を出迎えた。



四川省で大地震  横浜で救援義援金募金始まる

四川省肭川県近くを震源として現地時間5月12日(月)14時 28分に発生した四川大地震は、マグニチュード8を記録、都市部や山間地に大きな被害をもたらし、地震の揺れは北京にまで届いた。温家宝総理はただちに被災地に赴き、被災地の住民や救助活動を続ける解放軍・武装警察・公安警察・医療スタッフを激励し、救助活動の指揮を取った。
 中国政府は5月28日現在の地震による死者が6万8109人、行方不明者が1万9851人、負傷者36 万4552人と発表。避難所生活者は約1500万人。中国政府は負傷者の治療、被災者の生活支援に全力を挙げ、国内外にテントや医薬品など緊急物資の提供を求めている。
 中国政府の呼びかけに応え、日本の華僑華人は義援金の拠出を決めた。日本華僑華人聯合総会曽徳深会長・符易亨副会長と、横浜華僑総会の謝成発・温耀権副会長は5月15日(木)、駐日中国大使館を訪れ、聯合総会は1百万円、横浜華僑総会は2百万円の義援金をそれぞれ領事部于淑媛参事官兼総領事に手渡した。
 横浜華僑総会任政光会長・曽徳深名誉会長は5月29日(木)に中国大使館を訪ね、横浜華僑総会に寄せられた大地震救援義援金1千5百万円を領事部許沢友参事官兼総領事に手渡した。5月15日に続き2度目。
写真:于参事官に義援金を手渡す聯合総会・横浜華僑総会関係者(5月15日)

 地震発生直後から多くの華僑華人と日本の友人が横浜華僑総会に義援金の拠出を申し出、横浜華僑総会は総会に「四川大地震救援募金」の募金箱を設置。また信用組合横浜華銀に義援金専用口座を設け、東京・神奈川県にある華僑華人団体と華僑華人個人、また横浜中華街の店舗と日本の友人にあてて、義援金を募るお願い文1100通余を郵送した。 
 横浜山手中華学校(潘民生校長)の生徒は4百個の募金箱を作り、横浜中華街発展会協同組合(林兼正理事長)の協力を得て中華街にある店舗に5月31日まで義援金募金箱の設置をお願いした。
 日本政府は5月13日に資金と救援物資の提供で計5億円の拠出を決め、国際緊急救助隊、および医療チームを派遣した。神奈川県は1百万円の義援金を拠出し、職員からの義援金を募ることを決めた。横浜市は水をろ過・滅菌する装置3台(計135万円相当)を提供することを決め、市職員や市民からも義援金を募るとしている。

  救援義援金 5月26日現在 519件
  総額1960万5644円



四川大地震 犠牲者を悼み集う

 日本華僑華人聯合総会(曽徳深会長)・日本新華僑華人会(呉智深会長)・東京華僑総会(符易亨会長)・横浜華僑総会(任政光会長)・在日四川同郷会(賀乃和会長)など華僑華人団体の代表80人余は5月21日(木)、東京華僑総会7階ホールで追悼集会を催し、四川省肭川大地震で不幸にして犠牲となった同胞たちにキャンドルで哀悼の意を表した。
 会場正面に「向四川大地震遇難同胞致哀」と書かれた黒い横断幕が掲げられ、その下に「5・12」の数字を囲んで、ハート型にロウソクが並べられた。
 東京華僑総会符会長が追悼集会開催を告げ、「史上まれに見る大地震がわが祖国を襲い、四川省肭川などでわが兄弟姉妹が死傷し大きな被害を受けた。全国民がこれを悲しみ、全世界の人びとが同情している。われわれ在日華僑もわがことと思い、全国哀悼の日の最後の晩に、アメリカなど20余か国の華僑華人団体および僑胞と同様、沈痛な思いを抱いて追悼会を開いてロウソクの火にわれわれの哀悼の思いを表す。」と述べた。四川省出身の2人が被災地の同胞を代表してロウソクに灯を灯し、参会者は犠牲になった同胞の冥福を祈って黙祷、白菊の花を供えた。



中・日両国でぞくぞくと
 救援義援金、支援物資拠出

 駐日本中国大使館は5月13日、四川省大地震義援金専用口座と寄付受付専用電話を設置し、日本赤十字社は2千万円の拠出を決定、国際赤十字と連携して積極的に被災者救援を行うこととし、14日からの1か月、義援金の受付をすることを決めた。
 国連は災害準備金から8百万ドルを拠出し、中国にある国連の各機関も足並みを揃え中国政府による震災救援活動の支援を強化するという。中国国内の多くの企業も慈善団体などを通じて、被災地への支援金や救援物資の寄付を決めている。5月14日の時点で、銀行界では中国建設銀行の2千万元を筆頭に7行が1千万元以上を寄付。保険界では中国人寿が1千6百万元、中国人民保険が1千万元、南方航空・ファイザー中国・聯想(レノボ)・泛海控股・中国石油化工(シノペック)、中遠集団(コスコ)が各1千万元の寄付を決め、支援金が1千万元以上に上る企業は同時点で計15社。
 中国国民党の馬英九氏は、四川大地震の復興と再建問題の支援に取り組む姿勢を示した。台湾では大地震を機に「同胞意識」が高まり、すでに救助隊を現地に派遣したほか、20億台湾ドル(約70億円)の支援を表明した。中国に拠点を持つ台湾大手企業や、中国で活躍する台湾芸能人がつぎつぎと巨額義援金の拠出を表明しており、5月14日の時点で、企業の義援金は計4億元に達した。
 人気俳優の成龍(ジャッキー・チェン)・章子怡(チャン・ツィイー)・李連杰(ジェット・リー)・陳慧琳(ケリー・チャン)や台湾の人気アーティスト周杰倫(ジェイ・チョウ)は、被災者支援のために寄付やチャリティ活動をしている。
 日本国内の企業・団体や、中国にある日系企業も、ぞくぞくと義援金の寄付を表明している。



義援金を大使館へ

 横浜山手中華学校(潘民生校長)は四川大地震救援のために、学園理事会・学生・家長・老師、そして日本の友人の協力で募金活動を行った。潘校長は5月23日(金)、中学部と小学部それぞれ1名の生徒代表とともに中国大使館を訪れ、募金357万879円を、大使館領事部の劉敬師一等書記官兼領事に手渡した。





横浜自由華僑婦女協会、2千万円の義援金寄付

 横浜自由華僑婦女協会(潘匯珍会長)は5月29日(木)、駐日中国大使館を訪ね、四川大地震の救援義援金2千万円を寄付した。
 中国大使館を訪ねたのは曽淑銘名誉会長・潘匯珍会長・陳淑明副会長・莫秀芳顧問の4名、領事部許沢友参事官兼総領事に、四川大地震で被害を受けた子どもたちに使うよう希望して、会が長年貯めてきた金員を寄付した。86歳の曽名誉会長は車椅子に乗り、4人は横浜からタクシーで中国大使館を訪ねた。
 横浜華僑総会の任政光会長・曽徳深名誉会長が同席した。


于淑媛参事官離任
許沢友参事官着任 横浜で歓送迎会開く


 中華人民共和国駐日本大使館領事部の于淑媛参事官兼総領事と李輝一等書記官兼領事が4年の任期を終え離任し、新しく許沢友参事官兼総領事と劉敬師一等書記官が着任した。
 横浜華僑総会は帰国する于参事官と李一等書記官を歓送し、後任の許参事官と劉一等書記官を歓迎する会を5月11日(日)、横浜中華街の珠江飯店で開いた。横浜華僑総会の任政光会長をはじめとして副会長・議長団・常務理事・理事 30余名が出席し、また日本華僑華人聯合総会曽徳深会長(横浜華僑総会名誉会長)・横浜山手中華学園梁慶安理事長・横浜山手中華学校潘民生校長・横浜華僑婦女会劉燕雪会長・小紅の会陳碧蓮会長・保育園小紅佐久間愛玲園長など、横浜の僑団の代表が出席した。
 任会長は離任する2人の労苦をねぎらい、今後ますますすばらしい仕事をされるよう激励した。
 于参事官は「胡錦濤主席が山手中華学校を訪れ一堂に会したことは歴史に残ること。この4年間楽しく仕事と生活をしてきたが、横浜華僑総会のみなさまが各方面で協力してくださったことに感謝する。学校の完成を見ることができないことが心残りだが、次回来たときにはぜひ立派な学校を見せてください、楽しみにしている。」と期待した。李輝一等書記官は「華商大会や胡主席の訪日など、華僑社会の出来事をみなさんといっしょに経験したことをこれからの人生の中で大事にしていく。華僑社会の発展を祈っている。」と述べた。新任の許参事官は19年ぶりの横浜訪問とのこと。「前任のお2人を手本としてみなさまのご協力を得てりっぱな仕事をしていきたい。」と流ちょうな日本語で抱負を述べた。 聯合総会曽会長は「前任の2人と学校の土地をあちこち見に行き、今の土地に決まった。日ごろのこうした積み重ねで崔天凱大使、楊潔篪外長、そして先日胡錦濤主席が横浜山手中華学校を訪れた。これは日本の華文教育に対する励ましであり、2人はよい仕事をされた。」と述べて乾杯の音頭を取った。一同が和やかな雰囲気で別れを惜しみ歓談する中、中華学校校友会国術団が2頭の獅子舞を披露し、大使館が日ごろ関心を寄せてくれたことに感謝した。



華厨会所、大会を開く

 京浜華厨会所(盧栄枬会長)は会員大会を5月21日(水)、横浜中華街「大珍楼新館」で開催した。
 司会の呉蘭桂総務部長が開会を宣言し、盧会長があいさつ、議長に魏徳夫副会長を選び、議事を進めた。
 区伝宗副会長が会務報告、つぎに李肇臻財務部長が決算報告を行い、審議に入った。鶴岡毅監査理事が監査報告を行い、承認された。ついで会則の一部改正の提案があり、了承された。会員懇親会に移り、まず四川省大地震の犠牲者に黙祷を捧げた後、90歳になる長老唐潤生氏が乾杯の音頭を取り、おいしい料理を食べながら親しく懇親した。また、満80 歳を迎えた会員の郭少東・唐潤生・関徳源・林仲恩の各氏に記念品が贈られ、ともに長寿を祝った。 
     (京浜華厨会所 梁啓成)



「あーすフェスタ」開催

 「あーすフェスタかながわ2008」が5月17 日(土)・18日(日)に、あーすプラザ(JR本郷台駅)で開催された。今年で9回目。
 「みんなで育てる多文化共生」をテーマに、神奈川県・横浜華僑総会・在日本大韓民国民団神奈川県地方本部・在日本朝鮮人総聯合会神奈川県本部などの実行委員会が主催した。
 17日の開会式には横浜華僑総会曽徳深名誉会長が出席した。小野義博神奈川県副知事は、四川大地震について一日も早い復興を願っていると述べ、「第1回からさまざまな立場の人が気持ちを一つにして、年々盛大となった。」とあいさつした。
 県内には16万7千人の外国籍県民が暮らし、県民53人に1人の割合となっている。
 「アジアと南米のAMIGOS」のステージでは横浜中華学校校友会国術団が中国獅子舞を披露し、「世界を結ぶライブ」のステージでは区愛美氏が中国の歌を披露した。
 会場で、「ミャンマー・中国(四川省)災害緊急支援」募金が行われた。


北京のあれこれ
 朱銘江((社)廣東同郷会副会長)


 5月4日から12 日まで、わたしは「中華海外聯誼会」主催による「第2期海外華僑華人中青年代表人士研修班」に参加するため北京に滞在しました。
 白楊樹の綿毛がひらひらと舞う晩春の北京に降り立ったのはゴールデンウィーク最中の5月4日、中国では「五四運動」の記念日――『青年節』にあたる日でした。
 8月の五輪開催を前に新たに落成した世界最大級の規模を誇る北京首都空港第3ターミナルに降り立つも、まずはその大きさに圧倒されてしまいました。
 ターミナルビルのあちこちに「同一個世界、同一個夢想」という北京五輪のテーマを掲げた看板が、行き来する者の目をひきつけ否応無しに五輪の息吹を感じました。
 飛行機を降り入国審査のカウンターに至るまでは、かなり長い距離の移動を要しましたが、そのゆったりとした真新しくピカピカな空間はとても気持ちの良いものでした。
 昨年末からの「便民措置」により中国公民に対し、入国の際に必要であった入国カードの記入・提出は免除され、入境手続きは格段に便利になりました。すでに中国出国に際しての出国カードの記入・提出は数年前から免除されていたので、中国パスポート保持者の中国への出入国はとても楽になりました。
 入国審査のカウンターでわたしは「您好!」と言ってパスポートを係官に差し出すと、その担当官は微笑みながらパスポートを受取り、やはり「您好!」と返してくれました。彼はわたしの顔とパスポートの写真を見比べながら、終始にこやかに応対してくれました。
 そして、今回驚いたのはそのカウンターの前に、「満意」~「不満意」まで数段階の評価ができる押しボタンが設置されていて、旅行者は任意でそのボタンを押して入国審査官の態度を評価することができるようになっていたことです。
 成田の入国審査でわれわれ「外国人」も指を使う作業を強いられます(それも両手の指!)。これはテロ防止の名のもとに行われる指紋の採取ですが、それに加えて面と向かうのはイカツイ係官だけではありません。さらに微笑みのない無機質なモニター画面に向かい、その奥に隠されたカメラに「カシャ」っと顔面の写真を撮られるのです。
 北京首都空港と成田空港、入国審査という同じプロセスでの全く違った対応に、実に複雑な思いを胸に抱きました。
 さて、首都空港から市内までわたしはタクシーで移動しましたが、よりスピーディーな移動手段である地下鉄空港線は、五輪開幕1ヶ月前の7月に開通予定とのことでした。
 北京滞在中わたしはよく市内を徘徊していました。5月5日の午前、たまたま北京動物園の前を歩いていて、ふとその隣の建物を見るとそこは4月に例の不買運動の標的となった仏系スーパーの「家楽福」(カルフール)が入っているテナントビルでした。
 見たところ「家楽福」の店頭の様子はいたって穏やかで、普通に買い物客が出入りしていました。早速わたしも店内に入り中の様子を観察しましたが、2フロアに分かれた売り場には家電製品、衣料品、日用雑貨、書籍、文具、化粧品、生鮮食料品を含むたくさんの食品が並ぶ、どこにでもある普通の大型スーパーの光景がそこにはありました。ただ、地元の人に聞いた話によると騒動の前までは「家楽福」は大変な賑わいで、「レジに並んで精算を済ませるまでに30分以上待たされるのもざらだった」とのことでした。
 この日わたしも地元市民にまじり、ここのお惣菜売り場でローカルな食品に見入っていました。そして、味付けされた豚そぼろを小麦粉で出来た薄いクレープ状のシートで巻いた「肉末夾餅」と、弾力のあるウドン状の麺を香味野菜と胡瓜で和え、黒酢風味のタレで味付けした「涼拌牛筋麺」を購入しました。売り場で商品を受け取り、レジで並びましたがその精算は至ってスムーズでした。値段はいずれも4元、味は想像していたとおりでした。これら「北方風味」満点の食べ物に、北京庶民の食の一端を垣間見た気がしました。
 北京滞在中、他にも街中をあちこち探訪していましたが、ある日の夕方に北京最大のチベット仏教のラマ寺院である「雍和宮」を見学しようと、地下鉄環状線の「雍和宮」駅で降り現地目指しましたが、あいにく既に閉門時間を過ぎてしまい(午後4時閉門)、中に入っての見学はかないませんでした。仕方なく門前の大通りである「雍和宮大街」界隈の商店や土産物屋を見て回りました。仏教関連の経典や仏壇仏具、線香やロウソク、さらには金銀の紙銭を売る店が何軒も軒を連ねているのには驚きました。
 実はある店でおもしろい商品を見つけたので、つい購入してしまいました。それは七色に輝く吉祥文字が印字された珍しい中国線香で、産地表示をよく見ると何とわがふるさと廣東省江門市の製香廠の製品でした。1本1本の細い竹軸でできた黄色い中国線香の表面に「恭喜發財」とか「合家幸福」といった文字が印字されていました。これほどカラフルな文字が刷られている製品は、中華街の中国物産店でも見かけたことはありませんでした。
 来年の清明節には、是非この線香を携えて墓参に行こうと思いました。
 さて、わたしが北京入りしたのとほぼ同じ時期に、胡錦濤国家主席は日本への「暖春之旅」に旅立たれておりました。もちろんわたしは北京でその動向を刻々と伝える「中央電視台」などのニュースに注目していました。
 5月9日夕刻の中央電視台のニュース番組「新聞聯播」では、胡主席が東京での行程を終え、川崎のペットボトルリサイクル工場を見学する情景や、神奈川県知事・横浜市長と接見する模様を伝えていました。そして、何よりもわたしが注目したのは、胡主席一行が横浜山手中華学校を訪問されたニュース映像でした。
 特に胡主席が小3の教室で生徒たちと李白の名句「静夜思」について語る場面や、五輪マスコットの5つ「福娃」のどれが好きかと言う無邪気な生徒の質問に、胡主席は「五個福娃我都喜歡!」と気さくに答える場面は、胡主席のほのぼのとして温かみのある人柄が存分ににじみ出ている気がしました。また、映像の中には校長をはじめ日ごろ見慣れた僑胞の顔がたくさん映し出され、何だかとても懐かしい思いがしました。
 中華学校訪問の終盤、胡主席一行と僑胞らが高らかに「歌唱祖国」を歌い上げる情景は、実に感動的なものでした。
 そして、すべての研修課程を終えた5月 日の午後、日本へ戻るためわたしは再び北京首都空港T3のロビーにいました。午後2時 分、四川大地震が起きていたのです。わたしがこのニュースを知ったのは成田に降り立ってからでした。一部の報道で北京でも地震の揺れを感じたとありましたが、首都空港T3ターミナルにいたわたしにはその揺れは感じませんでした。
「抗震救災、衆志成城」。
 罹災された地域の同胞が一日もはやく復興を遂げられるよう、われわれ僑界もできるかぎりの支援をしていかなければならないと思いました。合掌。



羅 森 物語   第9回
中国広東人羅森の事跡―

 近代日中文化交流の先駆者・安政開国の「助っ人」  鄭青榮
交渉が難航した背景・底流

 まず、両国の間には価値観の根深い対立が横たわっていた。たとえば、通商問題の場合、日本側の基本的な観点は、通商・貿易というものは人間社会のためにならないと考える。なぜなら、利益誘導は人間の欲望を膨張させ、互いに利益をめぐって争奪、対立し合うことを煽り、社会が混乱に陥ってしまう、というものである。一方、ペリーの考え方は正反対で、通商のもたらす利益は国家の繁栄だとして、中国との通商を引き合いに出して、・政府は貿易で多大な利益が獲得できる・日本人の米国移住、就職が可能となる・成功後、資産を本国に持ち帰ることができる、などと通商のもたらす利益、ありがたみを大いに説いた。 
 これに幕府サイドは反論を加え、・日本の国民感情と風習とは諸外国の国民の感情風習とは大いに異なる。・中国に適用する法規があるからといって、それを直ちに日本に当て嵌めるのは極めて無理な話だ。・中国は長く西洋諸国と交流してきたが、われわれ日本は長崎に限ってオランダ人および中国人とだけ交際してきたに過ぎない、と外国との違いを強調して通商に賛同できないと主張した。このように、歴史文化・風俗習慣と政治体制の異なる両国同士の通商交渉は大本のところで鋭く対立し、いわば「日本文明とアメリカ文明」の正面衝突といえるほど由々しい、緊張した局面を迎えた。
この外交交渉の初期段階において、双方はまったく異質の相手に対して、互いに手の内を見せず、かえって虚勢、偽装、詐術、陽動作戦、恫喝などさまざまな手を駆使して、虚虚実実の駆け引きを行い、火花を散らした。相手に対する警戒心・猜疑心に基づくこのような潰しあいの外交交渉は、双方とも相手の意図がはっきりと読めないので、当然、交渉の方向が定まらず、五里霧中の難航を余儀なくされた。

写真:「富士登山の図」
『大君の都~幕末日本滞在記』より
1863年イギリス全権大使オールコックの富士山登山図(下田了仙寺蔵)



横浜健康コラム 17 予防接種
 先日、フィンランドから引越しして来た子どもの予防接種を打ってくれと、両親が自国のワクチンを持参して来院。内容を確認すると6種類の混合ワクチンで、日本では生後3年かけて打つものを、まとめてドカーンと打つような便利品。
「大丈夫ですか、、」と聞くと「ノープロブレム、どんどん打って」とやる気満々。なるほど文化の違いで、ワクチン接種は歯磨きの習慣作りと同じぐらい大切な通過儀式として了解されている。
 さて、日本では政府が新型インフルエンザ対策で作る予備ワクチンを来年にかけて大量接種予定。本当はすごく大事なイベントだけど、きっと賛否両論で大混乱は必至。
「善意は悪意以上の攻撃対象になりうる」の格言どおりにならなければいいが。
医療法人社団 広秀会  
みなとクリニック   卓馬 紳